お手軽にMLBを味わう、マイナーリーグ「ナッシュビルサウンズ」観戦記

この記事では、テネシー州ナッシュビルを拠点に活動する野球チーム「ナッシュビルサウンズ(Nashville Sounds)」の試合を「ファーストテネシーパーク(First Tennessee Park)」で観戦した話を書いています。

アメリカのスポーツといえばメジャーリーグ(MLB)を思い浮かべる人も多いでしょう。現地に住んでみると、正直アメフト(NFLとカレッジフットボール)の話題をする人は多いけれど、MLBの話題はあまり聞きません。それでも人気スポーツであることには変わりありません。

テネシー州ナッシュビルにはMLBのチームはないのだけど、素敵な野球場を持つチームが活動しています。

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ナッシュビルの球団「ナッシュビル・サウンズ」

ナッシュビルには、ナッシュビル・サウンズという野球チームがあります。これは、メジャーリーグ(MLB)の球団であるオークランド・アスレチックス(Oakland Athleticks)の下部組織(AAA…トリプルエー)です。いわゆる2軍チームといいましょうか。とはいえ、1軍チームと別の都市・別のチーム名で活動しているのです。アスレチックス(通称A’s)の本拠地のあるオークランドは、テネシー州ナッシュビルから遠く離れたカリフォルニア州にある都市なのだけど、それでも関連組織のようです。

なお、AAAの下にAA、Aなど、下部組織がたくさんあります。Wikipediaのマイナーリーグの項目を見ると、下部組織といっても地域密着型、独立採算制で、上位組織が面倒をみてくれるわけではなさそうです。ナッシュビル・サウンズは2015年からオークランド・アスレチックスのAAAになっているけれど、それまでの10年間はミルウォーキー・ブリュワーズのAAAだったようです。日本ハムファイターズの2軍が突然ソフトバンクホークスの2軍になるようなイメージで面食らいますが、きっと制度が違うんでしょうね。

ギターがシンボルの野球場:First Tennessee Park

ナッシュビルサウンズは、比較的長い間ナッシュビルで活動している野球チームです。現在の本拠地、First Tennesse Park(ファースト・テネシー・パーク)はFirstBank(ファーストバンク)が命名権を買った球場です。2015年のシーズンにオープンされた新しい球場です。ダウンタウンの少し外れ、バイセンチニアル・パーク(Bicentinial Park)のお隣で、ファーマーズマーケット(Farmer’s Market)の反対側に位置しています。音楽の街ナッシュビルにちなんで、なんとスコアボードがギターの形をしています。

2014年までの本拠地は、アドバンストサイエンスセンターの裏にあったようです。このときもスコアボードはギターの形でした。当時はアナログなスコアボードだったようだけど、現在のスコアボードはほぼ全面がLEDだか液晶です。

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ちなみにこの球場、2015年のオープン時は、なんと駐車場の建設が間に合っていませんでした。近くのファーマーズマーケットが試合の日は駐車場を無料開放したりしてなんとかしていたようです。そして心機一転、2016年シーズンからは球場の真横に大型駐車場がオープンしました。

ナッシュビルサウンズのチケット価格・試合時間

プロ球団とはいえ、マイナーリーグということもあって、ナッシュビルサウンズのチケットは安価です。当日窓口で購入すると、ネット裏の屋根付きの席は30ドル程度、一番安い椅子席が12ドル、外野芝生席が8ドルです。前売りで購入すると2ドルほど安くなります。もっとも、ネットで購入すると手数料をとられそうなので、事前に窓口で買うのが一番安い気がします。

シーズンパスを買う人もいるでしょう。特別個室観戦席(Suites)もしっかり設置してあるようです。なお、外野芝生席は当日券のみです。

4月から9月までほぼ毎日、約130試合が開催されます。このうち半分はアウェーなので、年間70試合弱がナッシュビルで開催されます。ホームゲームの場合、月曜〜土曜はナイター(6時30分頃開始)で、日曜はデーゲーム(2時頃開始)です。

集客を工夫すべく、金曜夜は花火を上げたり、先着xx名にxxプレゼント、というキャンペーンをやったりしているようです。

なお、チケット価格は2016年時点の情報です。2015年のチケット表と比べて1ドル値上がりしているので、年々値上がり傾向にあるかもしれません。

ナッシュビルサウンズの座席・駐車場の混雑度合いは?

4月末のシーズン開始時期の日曜日に観戦に行った経験をもとに、ナッシュビル・サウンズ観戦のための駐車場の確保術と、混雑度合いをご紹介しましょう。

球場はダウンタウンの少し外れに位置します。収容人数は8000人ほどで、フットボールに比べれば駐車場トラブルや渋滞は僅かなものです。球場の前の道路は警官が道路整理していますが、大して混雑はしません。

いちばん手軽な駐車場は、隣接しているState Parking Garage(ビル型)に停めましょう。約1000台収容できます。ただし有料です。

無料駐車場がよければ、球場の近隣にあるテネシー州省庁の駐車場は無料で解放されています。試合のある夜と、土日は一般解放しているので、早い者勝ちで停められます。とはいえ、試合開始1時間前くらいからは満車になっているかもしれません。また、全て障害者向けという駐車場があるので気をつけて下さい。

試合開始時間が近くなると、近隣の建物に「5ドルで停めて良いよ」と看板を出す人達がいます。彼らが正当な権利を持ってお金を徴収しているのか、勝手に場所を占拠してお金を取っているのかいまいち不明です。

私が試合観戦した日は、2時開始のところ、1時少し前に球場で当日券を買いました。ほぼ待たずに購入できました。ただ、入場する段階(2時すぎ)にはチケット窓口に長蛇の列ができていました。8000人程度の収容人数で6-7割の集客だったけれど、シーズン終盤には売り切れることもよくあるようです。ギリギリに到着すると色々苦労しそうです。

オススメは、早めについて車を停めてチケットを買って、徒歩でファーマーズマーケットに移動して時間をつぶして(食事して)入場でしょうか。もっともナイトゲームの場合、5:30まで近隣の駐車場が使えなかったりするので、要注意です。

観戦記:案外みんな試合を見ていない

私が観戦したのは、5月の大変よく晴れた日でした。対戦相手はニューオリンズ・サイファーズというチームでした。内野席の端っこの屋根のない席でした。安い席でも座席とフィールドがとても近かったです。選手紹介はギター型の電光掲示板でデカデカとなされるので、野球好きにはたまらない球場だなと感じました。私は正直野球はそんなに興味ないのですが、それでもちょっとワクワクしました。

アメリカの野球場では地元ファンが、地元チームの贔屓選手に歓声をあげ、相手チームにはブーイング、そんな光景を思い描いていたのですが、みなさんものすごい静かでした。敵チームが凡退しようと、味方チームがヒットを打とうと、拍手はまばら。声援を集めるスター選手も不在です。

MLBとちがってマイナーリーグということもあるのかもしれないけれど、みんな真剣に見ていません。あとから同僚アメリカ人に聞いたところ「野球場は社交の場なんだ」とすら言っていました。野球をのんびり眺めながらお酒でも飲みつつ友人たちと語り合うのが一般的なのかもしれません。(アメフトはもっとみんな試合に集中していた)

とくに顕著だったのは、外野席にバーのような施設があって、ここにいる人達はもはや野球すら見ず、下手するとバーに備え付けのテレビを見てたり、ビーン・バッグ・トスをして遊んだりしていました。

スタジアム内の飲食物の持ち込みは禁止(入り口で簡単なバッグチェックがある)で、冷たいペットボトルの水が4ドル程度、ビールは7ドルくらいでした。売店にはアイスやホットドック、ポップコーンなどのつまみ、バーベキューや揚げ物などのジャンクフードが一通り売られていました。

チケットに10ドル、飲食に20ドルくらいかけるつもりで行くのが良いのでしょう。

なお、レフトスタンド側の外野席のエリアは「Hyundai Deck」という名前が付いていました。ヒュンダイ社員向けのエリアかと思いきや、食事と飲み物付きの座席になっているようです。会社のイベントで30人ほど集まってそこで会食をした、という話を同僚から聞きました。ちょっとしたパーティー会場としても使えるのですね。

頑張って試合を見ていたのだけれど、いかんせん日差しが強く、屋根のない安い席での観戦は厳しい。1時間ほどみてまだ4回ウラだったけれど観戦を切り上げ、球場をフラフラと見て回って退散しました。

野球を見る場所だとおもっていたけれど、野球が行われる空間で語り合ったりお酒を飲んだりする人が多いことを知ったナッシュビル・サウンズの観戦でした。