鑑賞レビュー:アバターが舞台化?シルクドソレイユのTORUK

この記事では、ナッシュビルのブリヂストンアリーナで上演されたシルクドソレイユ(Cirque du Soleil)のTORUK:The First Flight- を鑑賞した感想を書いています。TORUKというショーは大ヒットした3D映画「アバター」をモチーフにしたものです。

2009年にAVATAR (アバター)という映画が公開されました。膨大な予算をかけた壮大なストーリーに、技術の限りを尽くした本格的3Dが世界的な大ヒットを呼び、2016年現在、世界歴代興行収入1位の座に輝いています。

そして2015年、この映画アバターに世界的なエンターテイメント集団(サーカス団、って言ってはいけないんでしょうかね)のシルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)が目をつけました。そして、アバターにインスパイアされた舞台:Toruk The First Flight(トゥルーク、ザ・ファースト・フライト)というショーを作り上げました。

2016年にテネシー州ナッシュビルで行われた公演を鑑賞してきたので、チケット情報や、公演の感想を書きました。

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ショー:Torukの概要

Torukは、シルク・ド・ソレイユの巡業ショーです。2015年にお披露目されて、それから世界各地を巡業しています。1都市につき数日間の公演をして、2016年はアメリカだけでも30都市ほどを回るようです。

ストーリーは、ナヴィ族の若い兄弟が、巨大飛行生物であるTorukに乗るべく、冒険を繰り広げる、というものです。

登場する生物の造形(ナヴィ族やToruk)、そして世界観はそのまま映画アバターのものを使っています。ただし、登場するキャラクターやストーリーは完全にオリジナルです。

休憩時間20分をはさんだ前半・後半の2幕で、だいたい2時間弱の上演時間でした。

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Toruk ナッシュビル公演の概要

私は、2016年8月下旬にテネシー州ナッシュビルでこのTorukを鑑賞しました。会場は、ナッシュビルダウンタウンにあるNHLチームNashville Predatorsの本拠地Bridgestone Arena(ブリヂストンアリーナ)です。ホッケーやバスケやコンサートに使われる会場です。

平日は夜7時30分開始、週末は土曜は4時、8時、日曜は1時、5時という1日2公演となっていました。

チケット料金

チケット料金は、安い席で30ドル弱、高い席で100ドル程度でした。大規模なショーなので、これはかなりリーズナブルな価格設定だと思います。売り切れるほどの人気は出ていないようで、直前でも一番安い席が購入できるようでした。

チケットは、オンラインチケットサービスのTicketMasterを利用します。私は40ドルのチケットを購入しました。購入してびっくりしたのが、手数料が諸々17ドルもかかって、結局57ドルも支払ったことです。17ドルの内訳は、サービス料10ドル(何のサービスなのか明言なし)、施設料4ドル、追加税金1ドル、さらに支払い時に「注文手数料」の名目で2ドルほどとられました。

窓口で購入すれば少し安くなるのかな、という気もするのだけど、ネットで調べる限りでは、最後の注文手数料以外は発生するような様子でした。

チケットは紙ではなくてスマホにバーコードを表示させるタイプのeチケットです。(紙のチケットが欲しい場合、さらに追加料金が発生する)

Torukのブリヂストンアリーナ公演の駐車場

ブリヂストンアリーナには駐車場がないのだけど、川を挟んだ徒歩10分の場所にある日産スタジアムの駐車場が無料で利用できます。そこに駐車して歩いたので、駐車料金は発生しませんでした。

他にも、ブリヂストンアリーナ周辺にはたくさんの有料駐車場があるので、歩きたくない方はそういう駐車場を利用すると良いでしょう。3時間停めても20ドルはかからないはずです。

toruk2

TORUKの感想

アクロバットが素晴らしい

私は初めてシルク・ド・ソレイユのショーを見たので、他のショート比較はできないけど、一言で言えば大変面白かったです。基本的に小道具に頼らず、人間の肉体で勝負するのが信条のようで、人間がとんでもない高さから飛び降りたり、天井からロープ一本でぶらさげられたり、ものすごいバランスを披露したり、素敵な歌を披露したりと、2時間楽しみました。

基本的にストーリーのあるお芝居なのだけど、場面がかわるごとにアクロバティックな演技が10分ほど、合計8回くらいの見せ場がありました。

特に素晴らしかったのは、序盤に出てくる木のやぐらのてっぺんから数回転体をひねって背中で受身を取って地面に着地する、というスタントと、輪っかになったロープにぶら下がって、心の痛みを表現するダンス、そして化石をモチーフにしたシーソーを使った集団演技です。

舞台装置が素晴らしい

舞台装置も大変素晴らしかったです。開始時間になると、いきなり舞台上にプロジェクションマッピングの技術で地面の色が変わり、舞台上に山が出現してワクワクさせられました。

そして、映画に出てくる架空の植物の再現度も素晴らしく、映画の立体画像で見ていた植物たちが実際に舞台上に出てきたときは、思わず感動してしまいました。

ちなみに、私が鑑賞した回は、開始5分でいきなりトラブルが発生したらしく「大変申し訳ありません、装置トラブルのため、一旦中断します」とアナウンスが入りました。幸い復旧は早く、中断は10分程度でした。

こういうときアメリカ人って不満も言わずに静かに待つのだな、と驚きました

toruk1舞台の一幕。

ストーリーはいまいち…

意外に思ったのが、このショーは、ショーというよりは演劇に近くて、しっかりとストーリーがあります。登場人物はすべて架空の言語を喋るので、会話で劇は進まないのだけど、登場人物の心象や行動、そして状況説明をするためのナレーションが英語で入ります。

このストーリーが残念ながら蛇足だったな、と感じました。

詳細には触れませんが、複数のアクロバットを見せるためにつくられただけのストーリーなのです。1個やったらじゃあ次の展開に行こう、というように、段取りじみています。せっかく良い演技をみても、ストーリーに戻ってきた途端になんとなく白けてしまいました。

このショーが5年後10年後も愛されるショーになるかと言われると、いまのストーリーでは厳しいだろうな、とも思います。

映画アバターとの関係は?

このTorukという舞台は、映画アバターが好きだった人は、とっても楽しめるでしょう。

私は映画公開当時にわざわざいい設備の3D劇場まで足を運んで見たので、3Dで見た映画の世界が舞台上に再現されていることに感動しました。ただ、1回見ただけだったので、世界観の細かいところはほとんど忘れていました。例えば、主人公たちの尻尾にどんな機能があるとか、世界の中心になる木だとか。

そんなわけで、映画を見ていない人でも十分に楽しめるでしょう。ストーリーは完全に独立しているし、映画の設定がわからなくても、奇抜な美術やアクロバティックな演技の素晴らしさはそれだけで素晴らしいです。

観客の入りは4割くらいでした。大人のカップルや、10歳前後の子どもをつれた家族、そして大学生ぐらいのグループ等が多かったでしょうか。大都市の金曜の夜公演としてはかなり寂しい集客に思います。でも、昨年始まったばかりの新しいショーなので、まだ知名度が低かったのでしょう。これから世界で公演を重ねるにつれて知名度が上がり、観客動員も増えて行くのかもしれません。

2017年には中国公演も予定されています。日本公演はまだのようです。2016年は北米だけで30公演以上あるので、アメリカに旅先・滞在先で上演されていることがあれば、きっとチケットは余っているはずなので、見に行ってみてはいかがでしょうか。

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続編も噂されているので、いまのうちにまたチェックしておくとよいかもしれません。


サントラも入手可能。購入地域にご注意。