夫婦で海を挟んでの別居を解消するまでの長い話(その3)

この記事では、我が家がかつて経験した、妻の海外勤務にともなう別居と子育てについて書いています。しばらくアメリカで同居して、その後アメリカ国内で別居、最後はアメリカと日本で別居になってしまいました。

前回の記事では、私たち夫婦がアメリカ国内で別居し始めたことを書きました。しかし、ここからはいよいよ海を挟んで日本とアメリカでの別居が始まります。別居解消すべく、私はいろんな策を探し始めました。

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妻子をアメリカに残して、単身で日本に帰国

いよいよ私の海外赴任の人気が終わり、私はひとりで日本に帰国することになりました。妻子とは帰国5日ほど前に別れを告げ、アメリカで一人暮らししていた家を引き払い、2014年の3月末にアメリカを出国しました。

幸い、帰国当日に空港での別れはなかったけれど、機内で見た「アナと雪の女王」を見て、「息子が見たら喜ぶだろうな・・・」と泣いてしまいました。その1で紹介した、日産を退職された堀込さんの著書に書かれている気持ちにすごく共感しました。

帰国後は一人暮らしではなく、実家住まいになりました。会社から通える距離に実家があったのです。突然私が家から通勤し始めるようになったので、ご近所からは出戻り息子みたいに見られていたのでしょうか。すぐ近くに妹夫婦が住んでいて、帰国すぐに赤ちゃんが生まれたりしたので、あまり寂しい思いはしませんでした。

大企業の社員の特権、育児休暇または配偶者海外赴任休暇

会社からは、アメリカで1年間過ごした経験を活かして、今後の会社生活でますます活躍することを期待されています。私も少なからぬコストをかけてアメリカに行かせてくれた会社に恩義を感じているし、海外で出会った優秀な同僚たちとこれから一緒に仕事をしたいし、別居のことはあれど、帰国後はそれなりに仕事に対するモチベーションを高く持っていました。
とはいえ、家族揃っていないと言うストレスは想像以上に大きく、すぐに働く意欲はどん底になり、早く家族と一緒に暮らしたい、という思いが募り始めました。

私が働いていたのは、日本有数の大手企業でした。育児休暇を取得した男性社員もいるし、配偶者が海外勤務になった際、3年間を上限に休職して同伴してよい、という配偶者海外勤務同伴休暇という制度もありました。

海外研修から帰国してすぐに取得すると、妻の任期(残り3年3ヶ月)に若干足りないものの、ほとんど誤差みたいなものです。アメリカにいた頃から、まさに自分もってこいの制度と思い、上司に取得を願い出ていました。

休暇取得への高い壁その1:部長はOKも本部長がNG

しかし、結果的にこの「配偶者海外勤務同伴休暇」は取得できませんでした。帰国前の1月の時点で、小学生の一人息子を持つ上司の部長は渋りながらも「俺がお前の立場ならば同じことをしていたかもしれない」と、この休暇の取得を認めてくれました。が、書類にハンコを押してくれる直前に、本部長が反対したようです。

結果、上司曰く「帰国してしっかりケジメをつけてから取得しろ」ということになり、帰国まで判断は持ち越しになりました。当時はなんとなく分かった気になりましたが、今思うと誰にどうケジメをつけろという意味だったのか、よくわかりません。電話でなく、直接会って話をしろ、という事だったのでしょうか。

しかし、帰国してみると、その本部長は異動されていました。反対する障壁が無くなったのかと思いましたが、そうはいきませんでした。

※なお、直属の上司は課長だったのですが、決定力だとか意思が余りない方だったようで、交渉ごとは基本すべて課長を超えて部長とやることになりました。

休暇取得への高い壁その2:休職せずに別居解消する方法が…?

私の会社は3月締めなので、2014年3月30日に帰国し、1日休んで期初挨拶のある4月1日に出社しました。一刻も早く上司(部長や本部長)と会話し、休職を認めて欲しいと思っていたけれど、期初で色々上司も忙しいようで、会話ができたのは出社2日目の4月2日でした。

部長と面談し、部長は休職を引き止める意思を、私は将来は会社に貢献したいが、当面は家族と暮らしたい意思を伝えました。数ヶ月前から変わらぬ平行線です。すると、部長は意外な言葉をかけてきました。

「副事業部長が中心となって海外案件を推進していて、海外派遣できそうな人材を集めている」

数年前まで私の部署の「海外」というのは、中国や東南アジアでした。しかし、急激な部署の統廃合が進んだ結果、アメリカの関連会社とやり取りする機会が増えたんだそうです。アメリカにいたのに全然知りませんでした。

私の知らぬところで、前本部長(休職を反対していた方)が奔走していたようで、派遣したい人材に私を推薦してくれていたそう。海外経験を活かして会社に貢献しつつ、家族の近くに住むなんて、理想的な条件に聞こえました。

早速数日後に、キーマンである副事業部長と面接することになりました。

アメリカ赴任すれば別居が解消できるかも?

今の仕事を続けつつ、海外経験を活かして海外勤務して、家族と一緒に暮らせる!しかし、嬉しいことばかりではありません。アメリカに派遣される場合、拠点はアメリカ西海岸のカリフォルニアです。一方で妻子が住むのはアメリカ中南部。同居するわけにはいきません。二つの都市は距離にして3500キロ離れていて、移動は飛行機で6時間、さらに時差が2時間あります。(時計上は、行きは8時間、帰りは4時間になる)

同じアメリカ国内といっても、日本の旭川〜鹿児島より離れています。平日は別居して、毎週末飛行機に乗って家族の元に帰る、そんな生活が果たして実現可能なのか、という不安は大きい。

しかし、現在の仕事を続けたまま家族と一緒に暮らすなんて贅沢ができるなら、多少の犠牲には目を瞑ることにしました。往復の航空券が5万円として、月4往復で20万円で、給料が・・・ここも目をつぶりましょう。我が家は共働き、別居中にプラマイゼロなら上等です。

以前の上司は、茨城に家を買って、勤務地(東京)に平日は単身赴任していましたが、私の場合はアメリカに妻子がいるので、日本に単身赴任(逆単身赴任?)です。ときどき単身赴任の解消のために、家族と住める地域(事業部・支社)に転勤する人のケースを耳にしますが、まさかアメリカに転勤する可能性があるとは。大企業のスケールは自分の想像をはるかに上回っていました。

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