車をぶつけられて、警察を呼ばなかったら大変なことに?

この記事では、アメリカで自動車事故にあったら絶対に警察を呼ばないと、あとあとマズイ事になる、ということについて、自動車事故の事後処理の流れと、具体的な事故処理の事例を交えてご紹介しています。

ごく少数の大都市を除き、アメリカは超・自動車社会です。東京などの都会とは比べ物にならないくらい、みんな気軽に車を運転します。生活必需品で免許が簡単にとれるせいか、運転技術が未熟な人も多く、当然事故も多いです。身近な日本人も数多く自動車事故に巻き込まれています。

他人事のようで突然自分にも降りかかる自動車事故について、事故にあってしまったときの対応や保険会社とのやりとり、そしてまわりの人の体験談を紹介しつつ、アメリカで自動車事故にあったらときの警察の重要性についてご説明します。

スポンサーリンク

アメリカ人は自動車に対する危機意識が低い

私は日本の首都圏育ちなので、19歳で免許取得以来ペーパードライバーでした。でもアメリカにきたら車を運転できないとどこにも行かれません。初めのうちは怖かったのだけど、1ヶ月で慣れました。ただ、運転に慣れるに従って別の事が心配になってきました。それは、アメリカ人の運転の荒さです。

よくあるアメリカ人の荒い運転をご紹介しましょう

  • 3割くらいの人は電話しながら運転している(州によるけど、結構合法)
  • 1割くらいはケータイ見ながら運転している(たぶん違法)
  • 指示器(ウィンカー)を出さない
  • 駐車場から出るときに、あんまり周りを見ない
  • 脇道から大通りに突然出てくる
  • 路肩を走る
  • ギリギリで車線変更をしてくる

1人1台車を保有、移動は99%車、という状況なので日本の通勤ラッシュにたまにいるマナーの悪い人が起こすトラブルくらいの頻度で、自動車事故が起こります。歩きスマホをしてぶつかる、くらいの感覚です。

アメリカで自動車事故にあったときの対応の流れ

アメリカは自動車社会であると同時に保険社会です。事故にあった場合、まずやることは「相手の保険会社の情報を交換する」というくらい保険が大事です。

事故にあった場合、以下をやらないといけません。

  1. ひどい怪我をしたりさせたりしたら救急車を呼ぶ
  2. 名前と連絡先を交換する
  3. 保険会社の情報を交換する
  4. (必要に応じて)警察を呼ぶ

相手が怪我をしていたら、まずその救助が最優先です。よく言われるけど、主観的・客観的に100%自分が悪い場合を除き”I am sorry”と言わないほうが良いです。相手がその言質をもとに、「あいつが悪い。だって謝ってきたもの」といってきて、100%自分が悪い事になりかねません。

名前と連絡先の交換もしましょう。偽名・嘘の電話番号を教えられると連絡が取れなくなるので、相手の携帯電話番号を聞いて、ワン切りするとその番号が本物であるかを確認できます。あとは、免許証をスマホで撮影すると良いです。

保険会社の情報も大事です。ダッシュボードに車両保険の控え(たいていの保険会社はカード型のPolicy/保険証書をくれる)を必ず入れておきましょう。

意外な事に、警察を呼ぶのは必須ではありません。が、絶対に呼びましょう。詳しくは後述します。

わたしは、事故ったときのチェックリストを作ってダッシュボードにおいておきました。

  • 相手の個人情報をメモる欄
  • 確認事項一覧
  • 自分の個人情報
  • パニクって英単語が出てこなくなった場合の、車両事故英単語週

幸いなことに使う機会には出会っていません。

自動車事故にあった場合の後処理

車が自走できないくらい大破していたら、加入している保険にもよるけれど、保険会社が提供しているロードサイドアシストを呼びましょう。レッカー移動(Towing Truck)で車を持って行ってもらいます。(どこに行くかは知りません…)

車同士の軽い接触事故で、お互いにキズ・ヘコミ程度で済んだら、情報を交換して解散して良いです。壊れた車で家に帰ってください。

とはいえ、本当の後処理はこれからです。まず、保険会社に事故の報告をします。自分の情報(氏名・Policy Numberなど)と、相手の情報(氏名・連絡先・相手の保険会社の情報)を伝えて、どういう状況で事故にあったかを伝えます。保険会社はその情報をもとにCase(案件)を作ります。

専任担当者が付くと親身になってもくれるのだろうけれど、私が経験した例は、チームで対応するので、毎回別の人が対応して、その度に状況を一から説明するなど、かなり面倒でした。

そんな保険会社が相手の保険会社と話し合って、互いの落ち度をなすりつけあって、本人に確認をとったりして、事故の負担金の結論を出します。結論には、100%相手が悪い、50%-50%だ、20%はこちらの責任だ…などがあり、これに応じて払われる保険の額(自己負担額)が決まります。

100%相手が悪い場合、車の修理費用などは100%相手持ちです。自分の懐は痛みません。でも、それ以外の場合は、自分の保険を使って修理をしないといけません。60%負担で1000ドルの修理費がかかる場合、相手600ドルしか払ってくれません。残りの400ドルは、自己負担か、保険適用で一部負担です。(この辺は、どんな保険に入っているかで異なる。)

自責・他責の割合を決めるのは、辛く長い道のりです。1ヶ月は覚悟してください。2-3ヶ月かかることもあります。車を一刻も早く治したければ、修理費用の支払いをどうするか、保険会社と話し合ってください。(どういう方法があるかはわかりません)

事故に会う前に、もういちど自分の自動車保険を確認してみてください。車が事故にあったときの事故負担額(Deductible)や車が大破した場合のレンタカーレンタル代が支給されるか、などをチェックしてください。なお、事故負担額を増やしてレンタカーを使わないという選択をすると、月々の保険料が大幅に下がります。

事故にあったらとにかくまず警察を呼ぼう

保険の手続きが長くなったけれど、本題です。自動車事故にあったら、交通違反が絡んでいようといまいと、まず警察に連絡しましょう

police-car

アメリカ人は自動車事故には慣れっこの人が多いのと、警察を信用していない人が多いので、事故を起こしても「この程度警察を呼ぶ必要はないね」と自信たっぷりに言うようです。絶対に無視して、警察に電話してください。相手が悪いと思った場合は、必須です。

警察は、相手を逮捕しようと息巻いてくるわけではなくて、事故処理をしにきます。事故処理の報告書としてPolice Reportを作成します。この書類が保険会社との交渉で役に立ちます。

警察の前で「相手が赤信号を無視して突っ込んできた」と証言して、相手がそれを認めたら、Police Reportにはそのように記載されます。それが保険会社に送られて、事故の責任がだれにあるかを決める手がかりになります。

もし、警察を呼ばないと、保険会社は双方の証言をもとに判断します。事件現場で「ごめんごめん、本当にこちらが悪かった。警察は呼ばなくて良いので、私の保険番号と連絡先を渡すからね」と言った人が、後日保険会社には「あいつが悪い、自分は悪くない」と平気で証言することもあります(実体験)。

警察を介入させなかった場合、「言った・言わない」「そっちが悪い」のやり取りは高い確率で負けると思っていてください。交渉は事故当事者どうしではなくて、双方の保険会社どうしでやり取りします。相手の保険会社のほうが強かった場合、自分に非がなくても、100%自分が悪いということになったりします。

それを避けるためには、ポケットレコーダーで音声を録画したり、携帯のビデオ機能でやりとりを全て記録したり、目撃者に証言してもらったり、いくつか方法があると思うけれど、証拠書類作成の事務手続きとして、警察を呼ぶのが一番確実です。

ドライブレコーダーで衝突の様子を記録できたら理想です。

ボイスレコーダーは、発生時・現場で録音されていることを証明できないと証明としては弱いかもですね。

100%相手が悪くても、自己負担することはザラ

最後に、いくつか残念な事例をご紹介しましょう。

残念な自動車事故の事例1

知り合いの車が、いきなり後ろから追突されました。彼女は常々「事故にあったら警察を呼ぶんだよ」と言われていたのだけど、相手(加害者)がしきりに「警察は呼ぶ必要ない」と主張したので、押し切られるかたちで警察を呼ばずに連絡先だけを交換しました。事故処理は現在進行中なのだけど、50%くらいの責任を押し付けられそうな予感がします。

残念な自動車事故の事例2

別の知り合いは、レストランの駐車場で、バックしようと車を少しだけ動かした瞬間、勢いよく反対側からバックしてきた車とぶつかりました。相手の車が大きかったため、バンパー部分にヒビが入りました。相手はその場で「後ろを見ていなかった自分の不注意だ、警察は呼ばなくて良い」と謝罪したので、連絡先を交換してその場を去りました。しかし後日、保険会社経由で「相手は自分には一切非がないと主張している」と聞かされ、結局50%は自分の責任、ということにされてしまいました。

残念な自動車事故の事例3

また知り合いの女性は、信号が青になったタイミングでゆっくり発進したら、横から信号無視の車に突っ込まれて、車は壊れるは、自分は怪我するわで、大変な目にあいました。この件はちゃんと警察にも届け出ていました。当然信号無視だから相手(加害者)が100%悪い、と思っていたら、恐ろしいことに、保険会社は「青信号で進む前に左右確認しなかったあなたも責任がある」と言ってきました。結果的に加害者は80%しか責任がないことになってしまい、ぶつけたら側にも責任があることになってしまいました。加害者側の保険会社の交渉力が強かったのでしょう。

アメリカで自動車事故にあうと、本当にろくでもないことになります。たとえ相手が100%悪かった場合でも、気に入っていた車がキズものになったり、保険会社とのやりとりに忙殺されたり、色々と面倒事が発生します。

後ろからいきなり突っ込まれることは防ぎようがないけれど、「アメリカ人は運転中は基本的に周りをみていない」ということを念頭に置いて、慎重な運転をこころがけて、とにかく事故に遭わないように気をつけてください。