この記事では、アメリカの職場におけるドレスコードやビジネスカジュアルについて書いています。私が働いている南部テネシー州ではみんな毎日ジーンズを履いているような気がします。
私は8年ほど典型的な日本企業の日本のオフィスで働いた後で、アメリカの企業に転職しました。これまで一年中スーツにネクタイを締めていたのだけど、アメリカではずいぶんと様子が違って、いまだに戸惑います。
アメリカ人(主に男性)が職場でどんな格好をしているか、ご紹介しましょう。
ネクタイを締めないアメリカ人
アメリカ人は日本人に比べるとスーツを着ません。ただ、業界・職種・地域にもよって変わるようです。東海岸から西海岸に行くにつれてスーツを着る人が減る、なんて言っているアメリカ人もいました。また、金融業界などはスーツを着る人が多いようです。
私はアメリカでは南部テネシー州にあるメーカーのIT部門に勤務しています。比較的服装規定が厳しくない地域・業界・部門だと言えます。特別なことがない場合のオフィスにおける男性陣の服装は…
- 靴…革靴
- ズボン…スラックス(ウールより綿パンが多い印象)
- シャツ…チェックや色付きのYシャツか、ポロシャツ
だいたいこのセットです。ネクタイを締めている人やジャケットを羽織っている人はほぼいません。
写真(リンク先はAmazon)はイメージだけど、こういう人が多いです。社長や役員などの幹部も大差ない格好をしています。
オフィス内でスーツにネクタイをしている人がいたら、きっと次のどれかです。
- 服装の厳しい会社からきている営業担当者 (南部のIT会社の営業だともっとラフ)
- 大事な会議やプレゼンがある社員(…ただしそういう場合は相手先に行くかも)
- 大学出たばかりの新入社員やインターン (数日後には皆と同じ格好に)
常に自社オフィス内で働いて、社内の人としか会わないような私のような人間がネクタイをして出社したら「えっ、どうしたの?」と突っ込まれるでしょう。
私の場合は入社1日目に日本人の正装である上下お揃いのスーツとネクタイで出社したところ、「それはちょっとオーバーフォーマルかも。ネクタイはしなくて大丈夫だよ」と上司に言われました。その後、採用される人を見ていると、初日から私のような格好をしている人は少ないので、すでに社会的にそんなもんだと受け入れられているようです。
週に1回ジーンズデイ
日本からすると、びっくりするくらい服装規定のゆるいアメリカですが、それでもアメリカ人には窮屈なようで、週に1回ジーンズデイがあります。ジーンス(私服)を着て出社して良いということです。短パンはどうやらダメなようだけど、TシャツもOKです。
こんな人ばっかりになります。大きなチェックのシャツを着る人もいるので、もっと華やかです。シャツは基本ジーンズから出して着ていて、靴は軒並みスニーカーです。偉い人も例外ではなくて、みんなラフな格好で仕事をしています。
アメリカ人にとって、ジーンズとはリラックスした私服の象徴なので、堅苦しいオフィスカジュアルから解放される象徴のようです。
イレギュラーにあるジーンズデイ
当初、このジーンズデイは隔週の金曜日だけだったようなのだけど、どうやら好評すぎて、毎週に変更されていました。それだけではなくて、かなりの頻度でジーンズデイが設定されています。例えば…
- 明日は座席移動があるので、動きやすい格好でくること。特別にジーンズデイにします
- 大雪と道路凍結のため、本日は午後出社とする。午後からジーンズで出社して良い
- 午後にチーム交流会があるため、ラフな格好で出社して良い。明日はジーンズデイだ
- フットボールのシーズンなので、明日は好きなチームのジャージとジーンズを履いてきて良い
…と、こんなように何かと理由をつけてジーンズデイが特例として設定されます。こじつけすぎて意味がわからないのも混じってくるけれど、感覚的に月に1−2回はイレギュラーなジーンズデイがあるのです。
寄付を目的としたジーンズデイ
恐ろしいことに、ジーンズデイはこれだけではありません。アメリカ人は寄付をするのが大好きで、この寄付をする口実でジーンズデイが設定されます。
- 隔週木曜日は、XXという団体に2ドルの寄付をしてほしい(任意)。寄付をした人はジーンズで出社して構わない。
- 今週はXX感謝週間のため、社員は1日2ドルを寄付したらジーンズを履いてきて良い。なお、月曜に8ドル払えば、1週間ジーンズを履いてきて良い。
- XXイベントで、一番寄付額が多かった部署は、ご褒美にx月x日をジーンズデイ(フリー・ジーンズデイ)とすることができる。
こういった寄付イベントは、だいたい月1回開催されます。ジーンズは寄付をする口実なので、ジーンズを履かずに出社して寄付だけする人もいますが、大半はジーンズを履いてきています。ジーンズで来た人は、日本でいう赤い羽根のような、「寄付しました」というステッカーをTシャツに貼り付けて1日働いています。
そんなわけで、アメリカ人の異様なまでのジーンズ大好きっぷりを日々目にしています。これだけ不定期にジーンズデイが開催されていると、毎朝「今日って普通の服だっけ?ジーンズだっけ?」と迷ってしまって、無難にジーンズ以外の服を選びがちです。でも、アメリカ人は(普段案内なんてろくに見ないくせに)ジーンズデイのお知らせだけは絶対に見逃さないようで、バッチリとジーンズ&ラフな格好で出社しています。
また、自分の出身大学のポロシャツや、会社のロゴ入りのポロシャツなどはオフィスにおける正装として認められている感じがします。
テネシーの名門、テネシー大学やヴァンダービルト大学のポロシャツ。この程度なら余裕で正装扱いされている。
おまけ:アメリカの職場で浮かない服装は?
そんなわけで、毎日スーツにネクタイで出社していた自分にとっては、このジーンズデイはいまだに不思議な文化です。
そうはいっても、普通の格好の日もたくさんあるわけです。ジーンズデイ以外でアメリカの職場に行くことになったんだけど、どうすれば良いんだろう… という日本人の男性サラリーマン向けに、私が思うドレスコードをご紹介しましょう。
靴
黒だか茶色だか、普通の革靴で問題ありません。
シャツ
ジャケットを着ない人がほとんどなので、1枚で着られるようなチェック・ストライプの柄のワイシャツか、鮮やかな色の単色ワイシャツ。
白や淡い色のストライプなどのワイシャツを着る人は少数。
ズボン
スーツのズボンで十分。チノパンなども可能。
ジャケット
着なくても良い。着るならばズボンと色違いのジャケット。スーツの上下揃えない方が良いかも。ブレザー着る人は少数。
そもそもアメリカ人は体温が高いためか、冷房の効いたオフィス内でも半袖の人が多い。ジャケットや長袖は物理的に着られないのかも。
アメリカのジーンズといえばリーバイス501が思いつくのだけど、見たところみんなファスト・ファッションのジーンズを履いている人が多い。
そんなわけで、アメリカの職場におけるファッションおよびジーンズ事情でした。