子どもの頭の形を矯正するためにアメリカでヘルメット作って帰国した

ヘルメット人形

この記事では、アメリカで生まれた息子の頭の形を矯正するためのヘルメットを作った体験談と、矯正を行なっている途中で日本に引っ越したため、日本で別の組織のお世話になって矯正を継続した体験について書いています。

頭の形

図の下が顔の正面(トンガリは鼻)です。

アメリカで生まれた息子の頭がかなりの絶壁でした。すごく誇張するとこの図のようになってました。

後頭部が丸い頭をスパッと切ったように斜めになって今した。寝返りを打ったりして成長していくと共に治ると思ったのだけど、数ヶ月しても特に改善されずでした。

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ヘルメットをした赤ちゃんと出会う

生後3ヶ月ほどで(アメリカの)保育園に入ったある日、保育園の同じクラスの赤ちゃんが突然ヘルメットをしていました。月次の割に巨大で、ちょっぴりノロマなところもある赤ちゃんでした。動きが鈍いから頭を打たないようにヘルメットをしているのかと思いました。

友達のヘルメット

すると、保育士さんは”Flat Headの治療だよ。良くある事よ”と答えました。

flat headとは所謂「絶壁頭」の事でしょうか。治療するほどのことなのか?と訝しんでいたのだけど、調べると赤ちゃんのうちに頭の形を矯正するためにヘルメットを使った治療をする事はアメリカでは良くあるそうです。

美容的(コスメティック)なもので、生育には影響がないから全て自費かと思いきや、ある程度の基準を満たすと保険すら適用されるようです。

うちの息子の歪な頭の形も、このFlat Headに分類されるのかもしれない、治療(矯正)すべきものなのかもしれない、と言う考え方が初めて我が家に導入されました。

思い切ってヘルメットを作ってみた

折しも、日本への本帰国が数ヶ月後に迫っていました。治療には半年近く必要と聞きました。完全に治療できないなら知らなかった事にしてこのまま生きていくのもアリです。ただ、頭の形は小さいうちにしか矯正できないし、折角治療法がメジャーなアメリカに住んでいる事だし、途中で挫折したとしても多少は改善できそう、と思い、医師のもとでヘルメットを使った頭の形の矯正をすることにしました。

まずは専門のクリニックに行き、頭蓋骨の形を測定してもらうようです。その結果をもとに保険会社に申し込み、保険適用可否を調べるとのこと。そこでNashvilleダウンタウンの西にあるHanger Clinicという場所に行きました。赤ちゃんの頭蓋骨矯正の他に、義手義足などで通う方がいるようです。

診察の際に電子的な方法で頭蓋骨の形を測定するそうですが、訪問した日は担当者がおらず、アナログな方法で測定しました。測定した技師曰く「これはかなり歪んでいるねー。ほぼ間違いなく保険おりるはずだよ」と太鼓判を押してきました。

結果を保険会社(Signa)に提供し、数週間待たされた後で、めでたく保険適用となりました。

保険会社の回答をもとにクリニックを再訪してヘルメットを作ってもらおうとしたところ、再び頭の形を測定することになりました。「以前計測したデータでヘルメット注文すればいいじゃん!」と言うツッコミ虚しく、前回不在だった担当者が専用機器を使って正確に測定した結果をもとにヘルメットを作ることになりました。待ち時間を考慮すると、前回の訪問が全く意味ない事になりました。ちなみにヘルメットはとにかくカラフルで、無地・柄つきなど、50種類くらいの色とデザインから選べるようになってました。

ヘルメット白黒

息子のヘルメットは星柄。何色だったかは内緒です。

数週間待ち、ヘルメットが届きました。息子の頭の形に合わせて変形させた特注品です。受け渡し時に、専用の器具を用いて微調整をします。頭が凹んでいる部分が緩くなっていて、頭が出っ張っている部分はキツくなっているので、ヘルメットに合わせて頭蓋骨が変形していくのだとか。ヘルメットと頭の断面を図示すると下のようになります。

ヘルメット断面図

綺麗な形ではなくて、歪な頭蓋骨に合わせつつ、少しずつ形を変えていくようになっている。

ただ、素材が発泡スチロール丸出しなので、蒸れるし、出っ張って当たっている部分は結構赤くなります。開始数日で「こんなの着けてて大丈夫なの?」と心配になるレベルでした。

最初のうちはこまめに通院してヘルメットを微調整してもらいました。しかし、背術開始後、直ぐに日本に戻ることになっていたので、帰国前日に調整をしてもらいました。

日本でヘルメットを調整してくれるところは?

帰国してしばらくすると、当然のようにヘルメットがキツくなってきます。数ヶ月着用して多少は改善したからこのまま矯正を終えるか、日本でもヘルメットを調整してくれる医者だかを探してもう少し矯正をするか、迷います。

東京都近郊だと2、3の業者がおり、確認したところ、東京の銀座にあるAHS Japanという「会社」が息子のヘルメットを「調整できるかもしれない」と教えてくれました。

日本では頭蓋骨矯正をするヘルメット(リモデリングヘルメットと言うようです)が厚生労働省から医療品と認可されていないようです。そのため、ヘルメットを作る一般企業が提供しているようです。提携している医療機関で診断した上で、ヘルメットを作成・調整しているようです。

ヘルメットと赤ちゃん

なお、AHS Japanが提供しているものはスターバンドという製品でした。私たちがナッシュビルで作ったものはHanger Clinicの独自ヘルメットとやらで、AHSの担当者曰く「ギリギリ互換性がある」ような素材のようです。

銀座にある微調整してもらいました。通気孔のような穴を開けたり、ヘルメットと頭が当たる部分にクッションのような素材を貼り付けたりと、アメリカでやっていた調整は一体何だったんだ、と言う手厚い調整をしてもらいました。

3回ほど調整に通い、息子も1歳の誕生日を迎えました。頭蓋骨が硬くなってきたことと、そこそこ矯正されたので、治療を終了しました。矯正中はお風呂の時以外、保育園にいるときすらヘルメットを被り続けていたので、薄毛の息子の素顔を見ることにしばらく慣れませんでした。

日本でのヘルメット矯正は結構大変?

なお、このヘルメット治療はアメリカではそこそこ有名らしいのだけど、日本ではほとんど知られていないようです。

妻に至っては、クリニックに向かう途中の電車で、「そのヘルメットはなあに?」と訪ねてきた女性に変な言いがかりをつけられ、ヘルメットを被っている子どもの写真を撮られそうになったとか。世間の目は冷たいです。

保育園に入園する際「ヘルメットでクラスの子どもに怪我をさせたら困る」と保育士に難色を示されるほどでした。(ただ、入園後は何事もなかったかのように預かってくれました。)

銀座のクリニック(AHS Japanのビジターズオフィスと呼ぶそうです)には、ひっきりなしに赤ちゃんを連れた家族が東北やら関西から来訪していました。頭蓋骨の形を変えるのは生後1年未満の限られた期間にしかできないです。矯正をしていたら変な目で見られるけれど、特徴的な頭の形を理由にイジメをしてくる人もいる美しい国、日本です。

AHS Japanのサイトを見たり、東京にある国立成育医療研究センターにある形成外科の「赤ちゃんの頭の形外来」をチェックしてみてください。(保険はおりないので、50万円以上の出費は覚悟していてください)


コメント

  1. ナオ より:

    初めまして!
    私の息子もヘルメット治療を始めることにしました!
    そこで、ヘルメット取得後にすぐ帰国する予定が入っているのですが、
    日本で調整をされた際、いくらくらい支払われましたか?
    AHSに問い合わせているのですが、返事がなく。
    いろいろ探していたところ、こちらのブログに出会いました
    もしよろしければ詳しく教えていただけると助かります

    • アメリカで生活する日本人 より:

      ご、ごめんなさい…こんなドンピシャな状況だったのにコメントに気づいておらず。。
      1回の調整あたり5400円支払った記録がありました。1ヶ月に1回くらい調整してました。
      (日本でヘルメット作ると40万円くらいだとか)