この記事では、テネシー州ナッシュビルで家族4人で長期滞在する際に、世界的な民泊サービスであるAirbnb(エアービーアンドビー)を利用した際の体験談を書いています。
2017年10月に、世界的に人気の民泊斡旋サイトAirbnb(エアービーアンドビー)を使って、ナッシュビルで2週間ほど暮らしていました。
帰国するにあたってナッシュビル近郊にあった家を売却しました。そのため、出国するまでの2週間ほど宿無しになってしまいました。はじめはホテル住まいをしようと思ったのだけど、我が家には0歳児がいて、ホテルだと若干お世話をするのが大変に思えました。そこで、普通の家に泊まったほうが便利なのでは、という考えから民泊を使いました。
Airbnbの詳しい解説は別のサイト・別の機会に譲ります。簡単に言うと、家を貸したい一般人(業者もいるけれど、たいていは一般人です)が、Airbnbというサイトに登録して、借りたい人がそれを検索する、というものです。支払いはAirbnb社が仲介するので、貸主・借主間の金銭トラブルを防ぎます。
我が家がNashvilleで宿探しをした条件
以下の要件で家を探しました。
- ベッドが2つ以上ある(夫婦と7歳児…赤ちゃんは折りたたみベッド有)
- (できれば)0歳児に優しい間取り
- ナッシュビル空港(BNA)まで車でそこまで遠くない(20分未満)
- 1泊100ドル未満
- 10月上旬〜中旬で2週間の長期滞在が可能
- 比較的柔軟なキャンセルポリシー(7日以上前なら全額返金も可能)
- 駐車場つき
大規模イベントのない時期だったので、宿が枯渇することはありませんでした。ナッシュビルは観光地でもあるので、それなりの物件数があると予測していたのだけど、期間が長いのと、赤ちゃんに優しいという条件がネックとなり、かなり限られた物件しかありませんでした。
とはいえ、一軒家貸切の好物件もいくつかありました。吟味した末、ウエスト・エンドというニッサンスタジアム近辺にあるエリアの物件に予約リクエストを出しました。しかし、ホストから「赤ちゃんを泊めたことがないので…」と断られてしまいました。
そのため、次点にあがっていたグリーンヒルズ(ナッシュビル中心部から西にある高級住宅街)にある物件にリクエストを出し、無事に受理されました。車で5分以内にトレーダージョーズやホールフーズの高級スーパーがあるし、家の前に広い公園もあるようで、長男もたくさん遊べそうです。
そして緊張の民泊初体験です。
2週間くらい滞在していたので、良かった点・悪かった点を列挙するよりも、どんな体験をしたか長々と書いていきます。
チェックイン当日の体験談
事前にホストであるジョン(仮名)からテキストメッセージがきて、チェックイン方法が指示されました。家の鍵は4桁のパスワードを入力する形式になっていて、その番号が伝えられました。おそらくゲストが変わるたびに番号が変わるのでしょう。
不慣れな場所なので、日が暮れる前に到着することにしました。写真で見た玄関がありました。どうやら大きな家の一角を入り口含め完全に分離させて、その部分が宿泊用になっているようで、ホストのジョンが奥さんと子どもと住んでいるようでした。
ホストのジョンは不在だったようで、我々が荷物を運び入れていると、妻のエイミー(仮名)がやってきて簡単に挨拶をしました。また、ジョンも「何か不便な事はないか?」と(ちょっとしつこいくらい)こまめに連絡をしてきてくれ、滞在2日目には対面で挨拶をすることができました。60歳手前くらいの白人男性で、仕事の片手間に民泊をやっているような印象でした。
余談だけど、この家に向かう途中、高速道路(Braily Park Way)封鎖を伴う大渋滞が発生していて、調べたら「牛を乗せたトラックが事故って道路に牛が放たれたため」でした。
泊まった家の構造
ナッシュビルで宿泊した家は、日 本の考えだと1LDKになるのでしょうか。次のような構成でした。
文字でも解説すると
- 大きなベッドと小さなダイニングテーブルのあるダイニング兼寝室
- 独立した台所
- 風呂トイレ
- 玄関のある居間、テレビとソファベッドあり
アメリカ人は間取り図を公開するという慣習がないのか、たくさん物件の写真は公開されているのに、どんな家なのか泊まるまでなかなかイメージができませんでした。写真に嘘はなかったけれど、あら、こんなに狭かったの、という間取りでした。
チェックイン当初の印象
とにかくものが多い!というのが第一印象でした。玄関ドアの前が小さなリビングになっていて、折りたたみ式ソファーベッドとテレビ、そして棚が2つありました。この棚が上から下までビッシリCDやらボードゲームやらヒーター・扇風機やらで埋め尽くされていました。ホストファミリーが不要になった物を「ゲストが喜ぶかも」という理由で置いている印象です。
ただでさえものが多いのに、インテリアなのか、不要な飾りも結構多くありました。棚が3段あったら、2段にものがつまっていて、真ん中の1段には飾りの食器が置いてある、という具合です。リビングにはギターまで置いてありました。
台所には皿・鍋・コップ・スプーンやフォークなど、食事に必要な一式のみならず、ワッフル焼き機、オーブントースター、コーヒーメーカーなどの調理家電が所狭しと収納されていました。なお、調味料や油、アルミホイルやサランラップもあって、基本的に食材を持ち込めばなんとかなるくらいのものが揃っていました。
リビングには小さなダイニングテーブルがあって、椅子が3脚と、ソファー、そしてベッドがありました。小さなダイニングテーブルの上にもいろいろ装飾品があって、食事をするときに邪魔でした。
ベッド脇にはナッシュビルの各種観光ガイドがあったので、遠くから旅行できた人を想定しているんでしょうね。
暮らしてみてわかったこと
しょっちゅう買い物で近郊にきて、土地勘があったこともあり、ロケーションはかなり気に入りました。車で5分走るとグリーンヒルモール・トレーダージョーズ・ホールフーズ・スタバ・チポトレ(Chipotle)があり、買い物・外食には不自由しませんでした。
グリーンヒル・エリアは高級だし、大通り沿いには大きな家が立ち並ぶのだけど、古い一角もあるようで、宿泊物件含めて周辺はそこまで裕福な場所には見えませんでした。
また、ホスト一家(の飼い犬)と共用だったけれど、大きな庭があって、息子とキャッチボールができました。2分歩くと、目の前にある大きな公園にも行けるので、動き盛りの息子がいる身にはありがたかったです。
誤算だったのは夕方の渋滞でした。空港方面にある保育園を使っていたのだけど、4時頃は下校ラッシュ、5時頃は退勤ラッシュと重なることもあって、本来なら15分の道のりが、片道40分以上かかりました。
ただ、帰国便に乗るために空港に向かったときは(朝4時頃だったこともあり)渋滞ゼロでサクサクと進めました。
日々の暮らしで困ったこと
とにかく狭い、夜が不便、という感想でした。赤ちゃんが夜2回くらい泣いて起きるので、親が迅速に対応&長男を起こさないようにしてました。そのため、妻と赤ちゃん、私と長男という組み合わせで寝ることになります。その結果、20時以降、長男と赤ちゃんが寝ると2つある部屋が両方ともまるまる使えなくなりました。仕方ないので、夜に何かする場合はキッチンに椅子を運び込む、という状況で、全くくつろげませんでした。
家が古いせいか、とにかくコンセントがありませんでした。アメリカの家って築20年くらいでも結構なコンセント穴が設置されていて、家電の配置に困らない印象だったのだけど、「いったいどこにコンセントがあるんだ?」と言いたくなるほどコンセントがありませんでした。
冬が近づいていることもあり、結構寒くなってきたのだけど、空調がコントロールできませんでした。どうやらホスト一家と空調(セントラルヒーティング)を共有しているらしく、自分たちで室温を選べません。ホストに電話やメールして「暑い・寒い」と訴えないとなりませんでした。電気ストーブなどもあるのだけど、前述の通りコンセントが枯渇しているので、なかなか使いづらかったです。
ゴミ捨ても不便でした。一軒家と同じで週1回しか回収がありません。我が家は家を引き払い、日本に本帰国するにあたり、「民泊の2週間だけをしのぐグッズ」と「家で捨てきれずもってきてしまったもの」などがあって、ゴミがたくさん発生しました。滞在中2回しかないゴミの日の前に、ホスト一家と共用のゴミ出し用のバケツがあふれてしまうのは地味にストレスでした。最終日に至ってはスーツケースに入りきらなかった洋服を捨てたりしたので、ホストに「ゴミ袋5袋くらい出るので許して」とお願いをしたほどです。
洗濯機はAirbnbの物件にはついていることもあるけれど、この家はついていませんでした。車で10分くらいのところにコインランドリーがあるようです。コインランドリーはあまり治安がよくないともいわれるので、我が家は友人宅に行って洗濯していました。(ちなみに、教えてもらったコインランドリーはバンダービルト大学そばで、多分治安は悪くない)
まとめ:Nashville Green HillsのAirbnb滞在は成功?失敗?
ナッシュビル中心部まですぐ、という好立地なので、観光で1-2日滞在するにはちょうどよい物件だと思います。ただ、我が家のように1週間以上、赤ちゃんと滞在するのはちょっと大変でしょう。我が家は折りたたみの赤ちゃんベッド(Pack’n’Play)を持ち込んだので苦労はしなかったけれど、それがなかったら無理でした。
夜になって起きていなければいけない場合、キッチンしかないので、とにかく机と椅子が恋しくなりました。どの収納にも自分たちのものをおくことができなかったので、常にスーツケースにものをしまう必要があったのも苦戦でした。
そもそもの需要と供給がミスマッチしていたために、個人的にはあまり幸せな滞在ではなかったです。
ホストのジョンと会話をした際も、我々が何者なのかいまいち理解できていなかったようで、「2週間も泊まるのかい?何をしている人?」みたいな質問が何回も出てきました。家を売って国外に引っ越すんだよ、というとようやく理解したようでしたが、たぶんイレギュラーすぎる客だったはずです。